いずれの植物園も、植物の種の繁殖が非常に重要な問題であることを認識しています。
栽培下では遺伝的構造の変化が予想されます。
また不時の災害によって栽培コレクションが全滅する可能性があります。
したがって、植物園の総意としては、植物の種にとって唯一安全な場所は、自然の生態系のなかであるということなのです。
しかし、わたしはその意見に賛成しかねます。
数多くの自然の生態系が破壊されることのないよう望むものですが、現実はまさにその反対なのです。
国でも州でも地域でも、偽りなく何百もの微生育地があり、個々の種に見事に適応した生態系が存在します。
そんな微生態系を少しも考慮しないで、総体的な環境変化が頻繁に起こっているのです。
また自然の生態系が安定的なものであるかどうかすらも、未解決の問題です。
現在の状況がこのまま続くとすれば、保護問題で植物園はまことに重要な貢献をなすでしょう。
わたしたちは、資源が消えゆく世界に住んでいます。
完全を期すことはできなくとも、いくらかでも保護するほうがしないよりましです。
自然の生態系で種を保存するのは理想的なやり方かもしれませんが、わたしたちの住む世界は理想的な状態にはありません。
したがって、栽培コレクションの重要性を過少に評価してはならないのです。
とりわけ、自然界で絶滅したと考えられる植物が、予期せず栽培下で見つかることがあるのでなおさらでしょう。
こうして「助かった」種には、イースター島の樹木からイギリスの野草にいたるまであるのです。